☆DISCOGRAPHY2(その他のアルバム)



Love, Peace & Trance
小川美潮、甲田益也子と共に参加したアンビエント色の強いコラボレーションアルバム。
プロデュースはなんと、細野晴臣。
インストゥルメンタルが大半を占め、しかもそれらはある種宗教音楽に通じるような幻想的な
楽曲ばかり。癒し系サウンドがもてはやされている昨今ですが、このアルバムに収められた
曲はかなり好みの分かれるところでしょう。少なくとも、遊佐未森らしい楽曲を期待して聴くと
面食らうこと必至です。インドやチベットの光景を思い浮かべながら聴くとぴったりかも。
遊佐未森ファンとしての聴きどころは何といってもメインヴォーカルを務めた『HASU KRIYA』
(はす・クリア)ですが、個人的には『HUSH-A MANDALA NI PALI』(はしゃマンダラにぱーり)
がお気に入り。エスニック料理店で流れていそうなこの曲は、小川美潮がメインヴォーカルを
務め、遊佐未森は甲田益也子とコーラスを担当しています。


賢治の幻燈 / 吉良知彦
宮澤賢治の童話をモチーフにしたコンセプト・アルバム。「幻燈」というタイトルにふさわしい、
幻想的な世界が広がっています。
プロデュースはZabadak(ザバダック)の吉良知彦。遊佐未森の他、Zabadakに詩を提供
しているKarak(カラク)の小峰公子や最近はCMのナレーションでも活躍している原マスミ、
キャラ・ジョーンズらが参加。ブックレットのイラストレーションは天野喜孝。
遊佐未森は宮澤賢治の同名の作品をまるごと朗読した『オツベルと象』に参加(「オツベル」
は「おっべる」と発音)。さすがに長過ぎるので第一日曜、第二日曜、第五日曜の3つの章
に分かれています。遊佐未森が演じているのは白象。私は小さい頃『オツベルと象』を国語
の授業で習っており、宮澤賢治の童話の中でも特に思い出深い作品だっただけに、白象の
科白を遊佐未森の声で聴くことができて大感激。原マスミのナレーションにも味があり、この
アルバムをすっかり聴いてファンになりました。
遊佐未森のファンだけでなく、Zabadakや宮澤賢治のファンにもぜひ聴いていただきたい
アルバムです。


Laulu / Vita Nova
いわゆるクラシックよりも古い時代の音楽・・・古楽をアレンジして現代に蘇らせるプロジェクト
「Vita Nova」のセカンドアルバム。プロデュースは吉野祐司。
参加アーティストは遊佐未森、ファーストアルバムから参加している上野洋子、本間哲子、
葛生千夏、そしてEPOと、とにかく豪華。この中のアーティストのうち2人以上のファンだと
いう方はもちろん、ファンというほどではないけれど気になっているという方には、ぜひとも
オススメしたいアルバムです。
古楽のアレンジを強調していたファーストアルバム『ancient flowers』と比較すると、『Laulu』
はオリジナル曲が増えてヴォーカルが前面に押し出され、より聴きやすくなっています。
全15曲中、遊佐未森は4曲に参加。『Where the Sunset Meets the Full Moon』など3曲で
上野洋子とのデュエットが実現し、双方のファンにとってはうれしい限り。
また、後に『honoka』でも採り上げるウェーバーの『Pie Jesu』をこちらでも歌っています。


ナーサリー・チャイムス
マザー・グースをモチーフにした上野洋子プロデュースのコンセプト・アルバム。
Zabadakに在籍していた頃からフォークロア風の楽曲を得意としていた上野洋子がその
持ち味をいかんなく発揮していて、個人的にはかなりお気に入りの1枚です。
参加アーティストは遊佐未森の他、ハイポジのもりばやしみほ、原マスミ、本間哲子・・・と
わかる人(笑)にとっては超豪華。作詞に目を向けると、遊佐未森やZabadakのアルバム
でもおなじみの工藤順子や覚和歌子の名前を見つけることができます。
ファンなら買っても決して損はないでしょう。
遊佐未森は全23曲中5曲に参加していますが、歌と呼べるものは2曲のみで、その他は
詩の朗読とでもいうべきもの。いかにもマザー・グースらしいナンセンスな内容の『Old Bo
Peep 〜しっぽ〜』と、『きらきら 光れ お星さま』がお気に入りです。