☆最近観た映画 2002 このページは1048×764ピクセル以上でご覧ください。 |
少林サッカー 監督 チャウ・シンチー 出演 チャウ・シンチー、ヴィッキー・チャオetc. とてつもなくおバカな香港映画。本国では圧倒的な興行成績を残しているそうですが、映画としての質はともかく として、バカバカしさだけなら近年公開されたどの映画にも負けていません。 CGにやたらとお金をかけているクセに、全編通してまんべんなくチープな雰囲気を醸し出しています。香港映画 特有のワルノリについていけない人は、拒絶反応を示してしまうかもしれません。 CMなどで繰り返し目にする荒唐無稽なサッカーのシーンはCGを使い過ぎるあまり迫力を感じませんし、「少林」 と銘打っている割には本格的なカンフーは皆無に等しく、期待しているとがっかりしちゃいます(ただし「旋風脚」 でボールを巧みに操るシーンはCGなしの本物。あまり目立たないけれど、よく見るとかなりスゴイです)。 でも、笑わせようとするそのサービス精神の旺盛さには目を覆う、もとい、目を見張るものがあります。のっけから 最後の最後までとことん笑いを追求していて、これぞまさしく香港のコメディ映画。好みははっきりと別れそうです が、笑いのベクトルが一致していれば、結構楽しめるのではないでしょうか。 主演・監督は香港の大スター、チャウ・シンチー。正直なところ、この映画を観るまでちっとも知りませんでした(^^; ヒロインはヴィッキー・チャオ。素顔はかわいいのですが、何故か映画の中では吹き出物だらけの特殊メイク。 シンチーは美人に恨みでもあるのでしょうか。物語の中では、シンチー演じる主人公がヴィッキー演じる吹き出物 だらけの娘に「美人なんだから自信を持って」と言うシーンがあるのですが、まったくもってどういう了見なのか、 私には理解できません。素顔で演じさせてあげればいいのに。 香港映画には脚本らしい脚本がなく、せっかく伏線めいたものを描いても全く活かされないことで有名ですが、 この映画は珍しく伏線をきちんと活かしていて、思わずニヤリとしちゃうかも。ある程度展開が読めちゃうところが 難点ですけど(^^) 全編チープな笑いが満載の、ある意味ゲテモノのような映画ですが、実は私、この映画で泣いちゃいました。 しかも、ミッフィーちゃんの絵を見て。ネタバレになっちゃうのでここではあえて書きませんが、こんな映画を観て じーんときちゃう私の涙腺っていったい・・・(^^ゞ スパイダーマン 監督 サム・ライミ 出演 トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンストetc. 今から40年前(1962年)のデビュー以来、ニューヨーク市民から「親愛なる隣人」と呼ばれ「スパイディ」の愛称 で親しまれているスパイダーマン。9月11日のテロ事件の直後に出版された『Amazing Spider-Man #36』では、 「僕はいつも君たちのそばにいる」とNY市民を励まし、消防士や警官たちと共に救助活動に参加していた彼の 活躍が、意外にも初めて映画化(テレビでの映像化はあり、かつて日本では日本を舞台に置き換えたシリーズ が放送されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃるのでは?)。テロ事件でツインタワーが崩壊したため、 ツインタワーのシーンがカットされ公開が危ぶまれていましたが、このたび無事に公開され、本国では公開から わずか3日で『ハリー・ポッターと賢者の石』の記録を超える大ヒットに。 実は小さい頃、アメコミのヒーローたちにハマっていた時期がありました。もちろん、当時はアメコミそのものを 読む機会など滅多にありませんでしたし、手にしたところでストーリーもわからずただ眺めるだけだったのですが、 クリストファー・リーブ主演の『スーパーマン』を観て以来、しばらく夢中になっていたのです。 スパイダーマンの存在もその頃知ったのですが、当時の私はあまり好きにはなれませんでした。私が極度のクモ 嫌いだからかもしれませんし、平凡な若者がヒーローとなって悪と戦う、という設定が受け入れられなかったせい かもしれません。いつも空想ばかりしていた私は、めっぽう強いスーパーマンの途方もない活躍のほうがワクワク したのです。今ではそれもすっかり逆転して、ひたすら品行方正なスーパーマンや、とにかく暗いバットマンには 辟易するようになってしまいましたが・・・。 映画『スパイダーマン』の魅力は、まさに平凡な若者がヒーローとなって活躍する点にあるといえましょう。 頭はいいけれど他に何のとりえもなく、周囲からからかわれてばかりいるピーターが、遺伝子操作で生まれたクモ に噛まれたことから特殊能力を身につけ、正義のために戦うスパイダーマンに。そんな彼も、大好きな幼なじみの MJ(メリー・ジェーン)が親友のハリーとつきあってる知って心中穏やかではいられません。まさに等身大の若者。 悪役のグリーン・ゴブリンのほうも、二重人格で単なる悪人ではないがために苦悩する様子が描かれています。 この手の映画にしては微妙な人間関係やキャラクターの葛藤がうまく描かれているほうだと思いますが、痛快な アクションもおろそかにされているわけではないのでご安心を。 何しろ、監督のサム・ライミは筋金入りのアメコミおたく。特に『スパイダーマン』は彼のいちばんのお気に入りで、 映像の道へと導いたバイブルのようなもの。それだけに、アクションの描写はかなり気合が入っています。 スパイダーマンがニューヨークのビルの谷間を巧みに渡っていくシーンなどは、ストーリーそっちのけでじっくりと 観ていたいくらいですし、悪漢を相手に敏捷に立ち回るアクロバティックなアクションは、中国武術、特に北派拳術 の美技を見ているよう。 主演はトビー・マグワイア。「大人になったハリー・ポッター」といった顔立ちで、内気なピーター役にはぴったり。 ヒロインのMJにはキルスティン・ダンスト。ドイツ生まれだそうですが、確かにいかにもドイツ系の顔立ちですね。 実はこの2人、撮影中につきあっていたという噂が。 悪役グリーン・ゴブリンことノーマンにウィレム・デフォー。前述のとおり、単なる悪役ではないところがミソですが、 さすがはデフォー、うまく演じています。 親友ハリーはほとんど新人のジェームズ・フランコ。何となく、伊藤英明に似てるような気が。ちなみに、ハリーは ノーマンの息子。なかなか複雑なキャラクターなので、続編に期待しましょう。 ハリウッドでは今、アメコミの映画化が目白押し。『X-メン』の続編はもちろん、誰が演じるのかわかりませんが、 が『スーパーマン』や『バットマン』の新作も予定されているとか。もちろん『スパイダーマン』もすでに続編が決定。 果たしてピーター、MJ、ハリーの関係がどうなるのか・・・そのへんも注目したいところです。 パニック・ルーム 監督 デビッド・フィンチャー 出演 ジョディ・フォスターetc. 『セブン』『ファイトクラブ』などで知られるデビッド・フィンチャー監督の最新作。彼の映画を観るのは『エイリアン3』 以来。もともとMTVのビデオクリップなどで腕を鳴らした監督だけにその映像美には定評があり、この映画では どんな映像を見せてくれるのか、と楽しみにしていました。 夫と別れたばかりの母(ジョディ・フォスター)と娘が古いタウンハウスへと引っ越してきたものの、最初の夜に いきなり事件に巻き込まれてしまう・・・という、かなりスケールが小さい映画だけに、それを逆手にとって緊迫感 あふれる作品に仕上がっているのでは・・・と期待し、事件が始まる直前までの「これはどうやって撮ったんだろう」 と考えてしまう巧みなカメラワークがその期待感をじわじわと高めていたのですが・・・。 いざ物語が動き出すと、冒頭のさりげなくも驚異的なカメラワークは、もはや観ることはできませんでした。 あとで知ったのですが、『セブン』でもフィンチャーと組んでいた撮影監督が途中で降板しちゃったとか。 非力な母と娘が泥棒3人組に立ち向かい、何とか危機を逃れようと奮戦するその一部始終は、確かに緊迫感に 満ちていて面白いのですが、でも、何となくもの足りない気が。『ホーム・アローン』もリアルに描けばこんな感じ かなあ・・・なんて思いながら観ていました。 何よりも残念なのが、その長い夜のラストシーン。あのあと、せめて1分くらい続きがあれば・・・と思ったのは、 私だけではないでしょう。あと1分あれば、余韻の残る映画になったかもしれないのに。 ちなみに、当初はニコール・キッドマンが主役を演じる予定だったものの、膝の手術のためにやむなく降板。 でも、よほど残念だったのでしょうか、別れた夫の愛人役で電話の声だけの出演を果たしています。 個人的にはジョディ・フォスターにバトンタッチして正解だったような気がしますが・・・どうでしょう? ロード・オブ・ザ・リング 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラーetc. 20世紀半ばに刊行されて以来根強い人気を誇り、後世のファンタジーRPGなどに多大なる影響を与えたJ・R・ R・トールキンの『指輪物語』を映画化。3部作の第1弾で、2作目は来年、3作目は再来年に公開される予定。 壮大な物語の3分の1とはいえ2時間58分のボリュームで、映画が始まる前にトイレに行っておくことをオススメ します。 『ドラゴンクエスト』の大ヒットで日本にRPGブームが到来する以前から剣と魔法のファンタジーの世界にどっぷり はまり、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『ルーンクエスト』といったテーブルトークRPGに夢中だった私。 『指輪物語』は中学生の頃に読み、物語そのものは冗長な気がしてあまり好きになれませんでしたが、トールキン が創造した架空の世界「中つ国(ミドルアース)」の凝りに凝った設定に感動し、いつか私もこんなにリアルな架空 の世界を創造してみたい、と思い描いていたものでした。 映画でも独特の固有名詞がやたらと登場し、予備知識がない方は面食らうかもしれませんが、原作者トールキン は中つ国の神話や歴史、地理だけでなく、亜人種であるエルフ族などの言語まで作ってしまったのですから恐れ 入ります。もちろんそれは、言語学の権威だけに本格的。昨今のファンタジーには作者が元来の出典を知らない ままどこからか孫引きしてきたような固有名詞が目立ち、その言葉が持つ本来の意味合いが損なわれてしまう ような気がしてどうにも好きになれないのですが、だからといって言語そのものを創造してしまうなんて芸当は、 なかなかできるものではありません。彼が創造したエルフ語は映画の中でも使われていますし、原作のファンで この映画のために新曲を提供したエンヤは、なんとクウェンヤ語(エルフ語の一種)で歌っています。 さて、その『指輪物語』を映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』ですが、こちらも凝りに凝っていて、何から何まで 素晴らしい出来栄え。監督の故郷であるニュージーランドで撮影した大自然は物語に負けないくらいスケールが 大きく、大小の美術も隅々まで雰囲気満点ですし、CGもスゴイ迫力。よくもまあ、これだけのものを作ったもの です。かつてアニメ化されたことがありましたが、まさか『指輪物語』が実写で、しかも想像以上の迫力で映画化 される日が来るなんて。 主演はイライジャ・ウッド。身長1mほどの素朴な種族・ホビットの若者フロドを演じていて、ホビットにしては美形 過ぎるような気がしましたが、まあ、どうせ実写で映画化するなら美形のほうがいいですよね。ハリー・ポッター だって、原作じゃあんなにハンサムじゃないですし。それにしても、イライジャ・ウッドのブルーの瞳には「一つの 指輪」のように人を吸い寄せる魔力というか、不思議な魅力が。 脇を固める俳優は私のイメージどおり。特にイアン・マッカランの魔法使いガンダルフはハマリ役かも。 個人的には、すっかり丸っこい大人になってしまったショーン・アスティンにびっくり。デビュー作の『グーニーズ』 から長い年月が流れていることを痛感しました。フロドの忠実な従者サムを演じているので、続編での活躍が 期待できそう。面食いの方にはエルフ族の弓の名手レゴラスを演じるオーランド・ブルームにご注目。本作では 弓を射るシーンの他は際立った見せ場のない彼ですが、2作目では大活躍してくれるかも。 女性陣では、裂け谷(リーベンデル)のエルフの姫アルウェンにリヴ・タイラー、ロスロリアンの森のエルフの女王 ガラドリエルにケイト・ブランシェット。リヴ・タイラーについては可もなく不可もなく、といったところですが、ケイト・ ブランシェットは女王の貫禄たっぷりの演技で結構お似合い。考えてみれば、彼女は『エリザベス』でも女王役を 演じていましたよね。 キャラクターはファンタジーによく登場するステレオタイプばかりと言われても否定できませんが、それもそのはず、 これは20世紀のファンタジーの原典ともいうべき名作の映画化なのですから仕方がありません。ガンダルフが 『スター・ウォーズ』のオビ=ワンに似ていても、レンジャーのアラゴルンが同じく『スター・ウォーズ』のハン・ソロ みたいな役回りだとしても、それは『スター・ウォーズ』が『指輪物語』の影響を受けたから。 ついでに書いておくと、最近のファンタジーに登場するエルフの耳が尖っているのも、彼らが気高い長命の種族 だというのも『指輪物語』の影響。もともとエルフというのは、小妖精だと考えられていたのですから。 原作では冗長と感じたストーリーも映画を観て考えを改めることになりました。やはり名作と言われるだけあって、 面白いのです。映画もかなり長いのですがひとつひとつが丁寧に描かれていて、これ以上削ると原作のファンは 納得できないでしょう。ファンタジー映画には心理描写があっさりしているものが少なくありませんが、この映画 では指輪がもたらす恐怖感がうまく描かれていて、心理的にも奥行きを感じさせてくれます。 最新の映画ながら、すでに古典の風格を備えた優れたファンタジー映画と言ってもいいでしょう。それは原作の ネームバリューによるものだけでなく、原作の偉大さに臆することなく、丁寧に作り上げられた映画だから。 実はこの3部作は3本まとめ撮りしていて、すでに撮影済みだとか。あとはCGパートの制作と編集にたっぷりと 時間をかけて最新の技術で『指輪物語』の世界を表現するつもりだそうですが、続編が待ち遠しくてなりません。 ちなみに、4月20日からは第2部『二つの塔』の予告編が公開され、これが目当てで私はもう一度劇場へ足を 運びました。でも、この予告編、原作を読んだことのない方にはネタバレになっちゃうのが難点。もう少し無難な カタチに編集してほしかったものですが・・・。 かくいう私もかなり内容を忘れちゃってるので、とりあえず原作を読み返してみようかな。 そういえば、ファンタジーRPGの源泉ともいうべき『指輪物語』ですが、かつてその名もズバリ『指輪物語RPG』 (原題は『Middle Earth Role Playing』、通称MERP)というテーブルトークRPGがありました。今はもう入手困難 でしょうけど、中つ国が舞台なので、『指輪物語』の世界を仮想体験できるところがミソでした。 ブラウン管とにらめっこしてひとりで黙々とRPGをやるよりも、友達と一緒に冒険の旅を体験するテーブルトーク RPGを楽しむほうが、まだ少しは健全なのではないでしょうか。まあ、最近はネットワークRPGが盛んですけど。 中つ国を舞台にしたネットRPGが登場したら、私もハマっちゃうかも・・・(^^ゞ |